活動報告・ニュース

2013年5月11・12日 ハンセン病市民学会  第9回 総会・交流集会in熊本

2013年06月29日

市民学会12013年5月11日~12日まで、ハンセン病市民学会が熊本県にあるハンセン病療養所・菊池恵楓園などを会場に開催されました。国賠訴訟後、ハンセン病問題について、ハンセン病療養所入所者、退所者、弁護士、医師、研究者、支援者、市民等がともに、この問題を風化させないよう、偏見・差別のない社会を実現しようと2005年に設立され、毎年検証や提言、交流などを全国のハンセン病療養所のある県で開催しています。

市民学会では、これに先立った5月9日、熊本医科大学(現・熊本大学医学部)が、昭和初期に九州療養所(現・菊池恵楓園)の入所者の遺体解剖(43体)をし、そのうちの20体の骨格標本を作製していたとの記録資料が見つかったとの報道がありました。入所者も知らなかったことで、市民学会の実行委員長である菊池恵楓園の志村康さんは「ハンセン病問題の闇の深さを改めて思い知らされ、病んだ者の命にも基本的人権を有していることを今後も強く訴えていきたい」と話されました。

市民学会としても緊急アピール文を出し、なぜ骨格標本を作製したのか、経緯の検証、医学倫理のあり方についてガイドラインの作成を求めています。また、それら解剖された遺体が療養所にもどっていないことなど、命に対する冒涜だとして、国、療養所、熊本大学に対して真相の究明を求めています。

今、療養所入所者の平均年齢は、約83歳になりましたが、ハンセン病問題の解決が進んでいません。介護が必要な人は、3割を超えている一方、国の「5年間で国の公務員10%以上削減」(2009年の閣議決定)に伴い、療養所の職員数も年々減少しており、認知症、誤嚥性肺炎の対応など、医療や介護の質が低下することに入所者からの不安の声が強まっています。昨年、それに対して入所者は、座り込みやハンストの決議をするに至りました。その結果、厚生労働省は正規の職員削減分を非正規職員等で補充する決定をしましたが、課題は解消していない状況です。国の誤った隔離政策で家族と引き離された人たちは、療養所で人の手を借りながら晩年を生きるしかないと述べ、職員の確保を訴えています。

このように多くの課題を抱えながら日々を生きざるを得ないハンセン病回復者にとって、残りの生涯を安心して生きたいと願っていることに対して、私たちがそれぞれの立場で改めてこの問題を問い直すことが必要ではないでしょうか。

市民学会2

菊池恵楓園「旧監禁室」

市民学会ホームページ

http://shimingakkai.com/index.html

菊池恵楓園ホームページ

http://www.hosp.go.jp/~keifuen/

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