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「ヘイトスピーチの廃絶を求めるアピール」採択-「移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸」(6月16日)

2013年06月23日

6月15日と16日に「移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸」が開かれ、支援に取り組む団体や個人が全国から集まりました。このフォーラムは2年ごとに開催地を替えながら開かれており、今回が9回目でした。 「東日本大震災と外国人支援」「改定入管法の現状と課題」「韓国の移住者政策とNGOの取り組み」の3つのテーマでシンポジウムが行われたあと、14の分科会に分かれてテーマ別の議論が行われました。

フォーラムの最後に、多民族・多文化共生社会の実現に向けた法制度の整備などを求めた「神戸アピール」とともに、「非正規滞在者の子どもの就学機会の確保を求める特別決議」と「ヘイトスピーチの廃絶を求めるアピール」が参加者によって採択されました。以下は、「ヘイトスピーチの廃絶を求めるアピール」の全文です。

ヘイトスピーチの廃絶を求めるアピール

私たちは多民族・多文化の人びとが互いの違いを大切にし合い、多様性による豊かさが育まれる社会をめざして、「第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸」に集いました。しかし現在日本の各地では、そうした理念に真っ向から反した、特定の民族・国籍の人びとに対する憎悪をあおり立てる、聞くに堪えない過激な言動が街頭で公然と行われ、激しさを増しており、深い憂慮と憤りを感じます。

日本では1980年代以降の移住者人口の増大と、1990年代に始まった「外国人犯罪」キャンペーンの影響などから、外国籍者や外国にルー ツをもつ人々に対するゼノフォビア(外国人嫌悪)が広がり始めました。また反中国を公言する石原前東京都知事のいわゆる「三国人発言」が、国内外から違法性を指摘されていたにも関わらず、結果的に放置されたため、公然とヘイトスピーチ(憎悪・差別表現)を行う人々が一般 社会でも増え始めました。2000年代以降の近隣諸国との歴史認識問題をめぐる軋轢の中で、歴史修正主義と嫌韓反中意識が広がり、外国人排斥を主目的とする極右団体も誕生しました。そして2010年代にはついに、在日コリアンが多く住み、店舗を出す地域で「大虐殺を実行する」 「朝鮮人を駆除せよ」「よい韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」といった敵意や憎悪に満ちた街宣活動が、白昼堂々繰り返されるようになりました。

私たちは日本を、人びとの心を深く傷つけ、生存の脅威を感じさせる暴言やジェノサイド(集団虐殺)、エスノサイド(民族抹殺)の公言を放置 するような社会にしたくはありません。特定の民族集団を「殺せ、殺せ」と叫ぶ街宣活動が拡大していく社会は、国際社会からも孤立し、危険視されていきます。

私たちは、敵意や憎悪が広がる事態を速やかになくすべく、思いを同じくする人たちと幅広く連携・協力し、以下の課題に取り組んでいくことを 表明します。

(1) 特定の民族、国籍、社会的身分に属する人びとに対する敵意を煽り、殺害や排除を予告・助長するような暴言・脅迫・威嚇を行うヘイトスピーチは、許されない人権侵害であるという決議を、国会で採択させること。

(2)日本が批准している人種差別撤廃条約の留保(編集注)を撤回し、国会においてヘイトスピーチの廃絶と被害者救済を含む人種差別撤廃の法制度を早急につくらせ、実施させること。

(3)人種的優越や憎悪に基づく思想の流布、人種差別の扇動を行うような政治家を議会に送り込まないこと。

2013年6月16日 第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸2013参加者一同

(編集注)日本は以下の条項を留保している:人種差別撤廃条約第4条(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。 (b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。

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