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米州機構が6月5日、「反人種主義条約」と「あらゆる形態の差別に対する条約」を採択

2013年06月22日

米州機構(OAS)の第43回総会は6月5日、「人種主義、人種差別および関連する不寛容に対する米州条約」および「あらゆる形態の差別および不寛容に対する米州条約」を採択しました。

米州機構は、北米、中米、南米の35カ国全てを加盟国とする地域機関で、地域の平和と正義、連帯などを目的としています。1969年には、米州人権条約を採択し、人権裁判所と人権委員会を設置して、加盟国の領域内の人が人権侵害を付託することができるようになっています。

米州機構総会は2000年に「人種主義、あらゆる形態の差別や不寛容を防止、撤廃などする条約」をつくることについて検討することを決議し、2005年には条約起草の作業部会が設置されました。2011年には、人種だけでなくあらゆる形態の差別と不寛容に対して、選択議定書などの文書をつくることが決議され、最終的には二つの条約としてつくられることになりました。 「人種主義、人種差別および関連する不寛容に対する米州条約」は、人種差別を人権や基本的自由の平等な享有、行使を不可能にしたり、妨げるいかなる区別や排除、制限や優先、人種主義を、誤った、または人種的優位の考え方を含む、個人や集団の表現型や遺伝子型とその人たちの知的、文化的やその他の個性とを関連づけるいかなる理論、教義、イデオロギーや考え方と定義しています。また、不寛容は、人の尊厳や特徴、信念、考え方を、それが違っていたりすることなどから軽んじたり、拒否したりするような行動や表現とされています。

「あらゆる形態の差別および不寛容に対する米州条約」では、国籍、年齢、性別、性的指向、性自認、言語、宗教、政治的およびその他意見、社会的出身、移住者、難民、無国籍や避難民であるという地位、障害、遺伝的特徴、精神的または身体的な健康状態などの他、いかなる要因によるものも禁止される差別の根拠としてあげられています。

いずれの条約も差別の定義に間接差別、複合差別を含み、積極的措置の規定も含みます。また、いずれの条約も締約国に、差別的活動の支援や差別、不寛容を促進する活動への支援、憎悪や差別、不寛容を唱導、促進、扇動などの発行や発信などを防止。禁止し、処罰するよう義務づけています。  両条約は、条約の実施をモニターするために米州人種主義、人種差別、あらゆる形態の差別および関連する不寛容防止委員会を設置することを規定しています。また、両条約の締約国内の個人、集団あるいは非政府団体は米州人権委員会に条約違反の申立てや報告を送ることができます。  採択の翌6日には、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、ブラジル、コスタリカ、エクアドルとウルグアイが条約に署名しています。一方、米国とカナダは一貫して条約の起草に反対していました。

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