活動報告・ニュース

障害者差別禁止法の動向

2012年07月13日

障害者差別禁止法案のとりまとめへむけた検討が政府の障がい者制度改革推進会議「差別禁止部会」(部会長=棟居快行・大阪大教授)で進められています。差別禁止部会は2010年11月の部会設置以来、19回にわたる会合を開き、法案策定にむけた部会の意見のとりまとめを進めてきています。

3月には「障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定に向けて-論点に関する中間的な整理」を発表されました。とりまとめは最終段階に入っており、早ければ8月中に最終の報告がまとまる予定になっています。

このとりまとめをふまえ差別禁止法の具体的な法案づくりが進められることになり2013年1月からの通常国会に障害者差別禁止法案が上程されるというスケジュールです。

差別禁止法の制定は政府が閣議決定にもとづいて国連の障害者権利条約を批准するための国内法整備の一貫としてすすめているものですが、障害者自立支援法に代わり提案された障害者総合福祉法も障がい者制度改革推進会議が示した「障害者総合福祉法に関する骨格提言」をほとんど無視、障害福祉サービス利用料の原則無料化も見送るといった内容になりました。

また、法務省の外局として人権救済機関「人権委員会」を設置する法律の制定が検討されていますが、自民党をはじめ民主党内にも反対論が根強く閣議決定に至っておらない状況です。

一方で障害者差別禁止法の実現を後押しする自治体レベルでの条例制定の取り組みも進んでいます。2006年に千葉県で「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」が日本ではじめて成立したのに続き、北海道、岩手県、熊本県でも同様の条例が成立しています。また政令指定都市ではじめてさいたま市において「さいたま市誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」が昨年4月からスタートしました。

障害者差別禁止法の制定は憲法で保障された差別によって侵害される基本的人権を具体的になくしていくための我が国発の法律です。「差別はしてはならないことである」という具体的なルールをこの社会においてつくりあげる突破口になるものです。そういった意味では決して障害者だけの問題ではなく、あらゆる差別をなくする取り組みへとつながる広がりを持った課題です。

この半年間の取り組みがこの国の差別撤廃にむけた取り組みを大きく左右することになります。持てる力を最大限発揮して実効性のある差別禁止法の制定を実現するためにがんばりましょう。(報告:谷川雅彦)

障がい者制度改革推進会議差別禁止部会

http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/kaikaku.html#bukai

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