活動報告・ニュース

在日特権を許さない市民の会幹部による水平社博物館への差別街宣裁判の判決

2012年06月25日

6月25日、奈良地方裁判所(以下、奈良地裁)は、水平社博物館が、差別発言で名誉を傷つけられたとして、1000万円の損害賠償を求めた訴訟判決で、在日特権を許さない市民の会(以下、在特会)幹部に150万円の支払いを命じました。

この日の判決に至るまで、口頭弁論が5回と異例のスピード。判決が出るまでは、裁判官が差別街宣(言動)をどのように受け止め、どのような判決を出すのか注目されていました。

そして奈良地裁は、判決文に不当な差別発言と違法性を認める判断を示しました。

判決文内容は次のとおりです。

水平社博物館前の道路上において、ハンドマイクを使用して「穢多」及び「非人」などの文言を含む演説をし、上記演説の状況を自己の動画サイトに投稿し、広く市民が視聴できる状態においている。そして、上記文言が不当な差別用語であることは公知の事実であり、原告の設立目的及び活動状況、被告の言動の時期及び場所等を鑑みれば、被告の上記言動が原告に対する名誉毀損に当たると認めるのが相当である。

公益財団法人奈良人権文化財団(旧名称財団法人水平社博物館)は、奈良地裁の判決に対して、原告請求を認め、被告の不当な差別街宣を違法であると認定、正しく差別街宣の違法性を認めたことを高く評価するとともに、被告及び在特会に対して、部落差別のみならず、あらゆる差別を表明・助長・扇動するような不当な宣伝行為を直ちに中止する事を求め、繰り返す者らに対する糾弾を今後も継続していくと見解を発表しました。

裁判後、報告集会が開かれ、約110名が集結しました。部落解放同盟奈良県連川口正志委員長は、「国内の法律の不備から損害賠償に至った。我々はお金を求めて闘っていない。そして部落差別だけでなく反差別の闘いである。人権侵害救済法の制定に向け、勝利判決を活用する運動をしよう」と話しました。

差別禁止法の制定を求める市民活動委員会でも、裁判傍聴や事件報告をするなど、この裁判の動向を注視してきました。差別禁止法の制定に向けて、大きく前進させる裁判判決といえます。

※裁判の判決文をさべきんHPで掲載していますので、ご参照ください。

水平社博物館への差別街宣事件

2011年1月22日、在特会幹部が水平社博物館前でハンドマイクを使って、同館の企画展「コリアと日本『韓国併合から100年』」の展示内容について抗議街宣をおこなった。その際に在特会の幹部は、同博物館に対し、「目の前のエッタ博物館、非人博物館」「エッタ出てこい。ドエッタ」と差別発言を何度も繰り返した。また、この様子をインターネット動画に公開し、差別を扇動した事件。

公益財団法人奈良人権文化財団(旧名称財団法人水平社博物館)は、差別街宣を行った在特会幹部に対して、名誉毀損による損害賠償請求訴訟を行った。

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