活動報告・ニュース

「だれもが安心して暮らせる大分県条例をつくる 会」を取材

2011年10月13日

千葉県からはじまった障害がある人たちへの差別をなくすための条例づくりの運動が広がっている。現在、4道県1市で制定されている。大分県でも6月、「だれもが安心して暮らせる大分県条例をづくる会(代表世話人:徳田靖之)」(以下、つくる会)が結成された。つくる会の事務局である「在宅障害者支援ネットワーク」の小野事務局長からお話を伺った。

1998年に大分県で脳性マヒのこどもを持つ母親が無理心中するという事件が2件も起こった。この事件の弁護にたったのが徳田靖之弁護士だった。事件を通じて徳田弁護士はこうした事件を二度と繰り返さないために障害のある人もない人もともに安心して暮らせる社会づくりが必要だと考えた。こうして障害者やその家族、福祉関係者、市民に呼びかけ2000年に「在宅障害者支援ネットワーク」を結成した。

「在宅障害者支援ネットワーク」は、電話相談やともに生きるためのガイドブックの作成などに取り組んだが、直接人と人がつながることが必要だと考え県内6つのエリアで障害者福祉について話し合うフォーラムを開催していった。このフォーラムを運営する実行委員会が「在宅障害者支援ネットワーク」の県内6つのネットワークとなって発展していった。

宇佐市のネットワークには行政担当者も参画し、当事者の声が市政に反映できる仕組みが作り上げられてきた。市民集会には4~500人の市民が参加をするという。

無理心中事件をきっかけに立ち上がった「在宅障害者支援ネットワーク」の10年に及ぶ取り組みを土台に、「だれもが安心して暮らせる大分県条例をづくる会」が結成された。代表世話人の徳田さんはつくる会の発会にあたって「この条例づくりがうまくいくかどうかの鍵は当事者や家族の方々がどれだけ生の声をあげて下さるかにかかっています。そのためには今まで自らの障害の故にあらゆる差別や偏見にさらされ、耐えに耐えてこられたその思いを解き放っていただかなくてはなりません。障害の故にあきらめていた夢や希望をもう一度よみがえらせて、実はこんなことをしてみたい、こんな人生を歩みたいのだという願いを声にしていただくことが必要です」と呼びかけた。

つくる会は個人参加方式をとっている。団体や組織ではなく一人ひとりのつながりを大切にしたいという思いがある。現在会員は157人。年会費は一人500円だそうだ。つくる会には県内6つの地域班と条例案を考える条例づくり班がある。希望制でどちらにも参加できる。広報は元大分合同という新聞社の記者お二人が担っている。

つくる会では「だれもが安心して暮らせる大分県条例づくりアンケート」に取り組んでいる。千葉県や熊本県で約800の声を集めたので大分でも800のアンケート回収をめざしている。現在、約50通が回収できている。条例案づくりでは八王子市の運動で提案されている条例案を参考にしている。

事務局長の小野さんは徳田さんが「在宅障害者支援ネットワーク」を立ち上げる時の同じ時に当時働いていた会社を退職、徳田さん達の取り組みに共感し、「在宅障害者支援ネットワーク」の活動に参加してきた。いつの間にか「在宅障害者支援ネットワーク」の活動になくてはならない人になり、つくる会を結成するとき専従の事務局長に就任された。とても人なつっこく優しさがにじみ出ている人。お忙しい中とても親切にお話をしてくれた。条例の実現、だれもが安心して暮らせる大分県、だれもが安心して暮らせる日本の実現をめざしてともにがんばりたい。

(つくる会のホームページ http://daremoga-oita.net/

このページのトップへ